倒すより、助けるのがヒーロー②

前回に続いて、やなせたかしさんの

 

『明日をひらく言葉』

 

という本から、今回は作者がアンパンマンに込めた想いを引用させて頂く。

 

 

 

 

●なぜアンパンだったか

 

 

1969年、雑誌に1年間大人向けの童話を連載したとき、アンパンマンも1篇書いた。

 

 

当時のアンパンマンは、パンを配るおじさんだった。

 

 

自分でパンを焼いているからマントも焦げだらけだ。

 

 

顔もハンサムじゃない。

 

 

空を飛んで行き、お腹のあたりからアンパンを取り出して子供たちに配る。

 

 

なぜアンパンだったか。

 

 

パンは外国、あんこは日本のもので、洋服を着ているが中身はまぎれもなく日本人と同じだ。

 

 

アンパンひとつで遭難者が命びろいすることがある。

 

 

食事にも、お菓子にもなる。

 

 

なによりおいしい。

 

 

 

 

 

●捨て身、献身の心なくして正義は行えない。

 

 

アンパンマンは自分の顔をちぎって人に食べさせる。

 

 

本人も傷つくんだけれど、それによって人を助ける。

 

 

そういう捨て身、献身の心なくしては、正義は行えない。

 

 

 

 

●善と悪はいつだって戦いながら共生している。

 

 

ばいきんまんの登場によって、アンパンマンにもうひとつのメッセージが生まれた。

 

 

『共生』だ。

 

 

ばい菌は食品の敵ではあるけれど、アンパンをつくるパンだって菌がないとつくれない。

 

 

助けられている面もあるのです。

 

 

つまり、敵だけど味方、味方だけれど敵。

 

 

善と悪はいつだって、戦いながら共生しているということです。

 

 

ばい菌が絶滅すればいいのかというと、実はダメなのだ。

 

 

人間も生きられなくなる。

 

 

敵対するものが共生していく。

 

 

それが人間の知恵のすばらしさなのである。

 

 

 

 

●悲しいとき、絶望しそうになったとき、握りこぶしをつくってください。

 

 

そして、その握りこぶしで涙を拭くのです。

 

 

そうすれば、もう一度生きてみよう、と立ち直ろうとする自分が、涙のなかから生まれてくるのです。

 

 

アンパンマンのキャラクター総数が2300を超え、ギネスに登録された。

 

 

キャラクターに共通しているのは、みんなしっかり手を握っていること。

 

 

力や気合をいれるとき、ぼくらは自然と手を握る。

 

 

涙がこぼれてきても、手の平で拭くのでは、弱い心を追い出せない。

 

 

しっかり手を握り、拳で涙を拭かなければダメだ。

 

 

キャラクターの手が拳になっていると、子供たちが似顔絵を書きやすいし、キャラクターグッズもつくりやすくなった。

 

 

いいことは、次から次へと連鎖していくのだ。

 

 

 

 

●相手がいろいろな武器を持っていても、アンパンマンはいつも素手で戦う。

 

 

これは、どんなときも自分の力で困難を乗り越えていく姿を示している。

 

 

そして、相手も徹底的に打ちのめさない。

 

 

得意技のアンパンチはふるうけれど、ばいきんまんは死ぬのではなく、自分の家に逃げ帰るだけだ。

 

 

排除はするけど、殺さないのだ。

 

 

本当は戦わずに、仲良くすればそれが一番だと思う。

 

 

 

 

 

以上、『明日をひらく言葉』からの引用でした。

 

 

 

なるほど~

 

 

アンパンマンにこんな深い哲理がこめられていたとは。

 

 

 

 

アンパンマンは、スペアの顔を沢山持ってパトロールに手掛けりゃいいのに。

 

 

とか

 

 

ばいきんまんは(顔が濡れやすい)雨の日にアンパンマンを倒しに行きゃいいのに。

 

 

なんて考えていた自分が恥ずかしい(ーー;)

 

 

 

アンパンマンにそのような合理性は皆無だ。

 

 

 

正義や慈愛という壮大なテーマを、うちの2歳の娘にもわかるように描いてくれているのだ。

 

 

 

ぜひみなさんも、この本を一読して、高知が生んだ大偉人の頭のなかを覗いてみてください。

 

 

 

 

 

 

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