おとうサンタ

 

『お父さんあと何日?』

 

 

これが夏以降の長女の口癖となった。

 

 

もちろんサンタが来るまでの日数を、父に聞いているのだ。

 

 

 

6歳の長女はサンタさんに会うのが楽しみでたまらない。

 

 

3歳の次女も、姉に便乗して楽しみだそうだ。

 

 

 

それ以上に楽しみなのがプレゼント。

 

 

11月にはいった頃から、折り紙の裏にサンタさんへ熱烈なラブレターを書くようになった。

 

 

『さんたくーろーすさんへ ぷりきゅあのおりがみください さんたさんまてるよ さんたさんだいすき』

 

 

これをサンタさんに渡しちょってと託される。

 

 

『どうせ本物やなしに、お父さんサンタやけどねっ(o´艸`)

 

 

とチクリ。

 

 

 

 

そうなのだ。

 

 

一昨年はプレゼントを渡し終え、別室でサンタのコスプレを着替えているところを長女にバッチリ見られた。

 

 

 

昨年はサンタがお父さんと同じ指輪をしていた、と指摘された。

 

 

 

今年に至っては、

 

『お父さんやなしに、本物のサンタさん呼んでや~』

 

と言い出す始末。

 

 

 

 

長女のリクエストは折り紙と伊達メガネ。

 

 

なかなかリーズナブルに済みそうだ。

 

 

我が家の家計を考慮してのチョイスだろうか。

 

 

親思い(サンタ思い)な子だと思っていたら、クリスマスの直前で雲行きが変わってきた。

 

 

 

 

保育園でお友達から

 

『リカちゃん人形なるものがある』

 

 

『他にもにドレスやらネックレスやら。』

 

 

『さらには魔法のステッキやらもついて、なんだが楽しそうだ。』

 

 

と情報をキャッチしてきたのだ。

 

 

俗世間からの情報を絶っていた我が家だが、お友達から情報がはいてしまったのだ。

 

 

 

 

 

家に帰り、必死で私にリカちゃん人形の説明をする長女。

 

 

 

もちろん、クリスマスプレゼントとして購入する運びとなった。

 

 

 

 

 

 

 

急いでアマゾンでリカちゃん人形を探し、長女に画像を見せた。

 

 

私『これで良い?』

 

 

長女『うん。これこれ(*´▽`人)

 

 

到着日はなんとかクリスマスイブに間に合いそうだ。

 

 

 

その日から、

 

 

『(ケータイで)リカちゃん見せて~』

 

 

が始まった。

 

 

 

毎日『リカちゃん見せて~』ではない。

 

 

毎分『リカちゃん見せて~』と寄ってくる。

 

 

 

 

 

 

注文してから2日後。

 

 

『やっぱり他のリカちゃんが良い。』

 

 

と涙ながらに懇願してくる長女。

 

 

 

 

私『でも、もう注文・・・やない、サンタさんにお願いしたよ。』

 

 

 

私『もう間に合わないんのやな?』

 

 

と言ったが号泣しながら

 

 

長女『他のリカちゃん・・(゚´Д`゚)゚。

 

 

と泣いてくる。 

 

 

 

これが子供のときの自分だったら。

 

 

団塊世代の親父に一喝されて終わりか、げんこつ喰らって終わりだったろう。

 

  

 

 

 

仕方なく、嫁さんがお風呂へ入っている隙に、アマゾンでまた探すこととなった。

 

 

『プレゼントはサンタが持ってくる。』

 

 

と言いつつ、長女と一緒にアマゾンでリカちゃん人形を探す私。

 

 

サンタさんに手紙を書いたくせに、アマゾンで私と一緒にプレゼントを選ぶ長女。

 

 

 

 

 

長女『あ、これこれ。こっち見せて。』

 

 

長女『さっきの赤いドレスのもう一回見せて。』

 

 

長女『もう一回さっきの見せて。』

 

 

長女のこんな真剣な表情は初めてみた。

 

 

 

 

 

 

長女『うーん。これにする。絶対これ。もう決めた。』

 

 

結局、すでに注文しているリカちゃんが、やっぱり一番良かったそうだ。

 

 

せっかく注文した商品を返品しなくて良かったのと、なにより長女が納得しているのが一番良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。クリスマスイヴの夜。

 

 

私は別室でサンタに変身し、さりげなくリビングに登場。

 

 

 

 

次女『お、お父しゃんΣ(゚Д゚;) 』

 

 

私『ち・・違うサンタ。(((( ;゚д゚)))

 

 

 

 

バレる前にプレゼントを出して、気をそらさねば。

 

 

私『お利口さんのひと〜』

 

 

お子ちゃま『ハーイヽ(●´∀`)○´∀`)ノ

 

 

 

 

私『夜は早く寝るひと〜』

 

 

お子ちゃま『ハーイ(*^^)o∀*∀o(^^*)

 

 

 

 

私『喧嘩せんと仲良く遊べるひと〜』

 

 

お子ちゃま『ハーイ(●´∀`)ハ(´∀`●)

 

 

この時ばかりは世界一お利口になるうちの娘たち。

 

 

 

 

二人のリクエストであった、リカちゃん人形とネネちゃんのお着替えセットを渡した。

 

 

眼を輝かせる二人。

 

 

親にとってはこの表情がクリスマスプレゼントである。

 

 

 

 

 

 

帰り際。

 

 

次女『お父しゃんサンタしゃんありがとう。』

 

 

長女『違うで。本物のサンタさんで〜。ねぇ?』

 

 

ねぇ?と言いながら私にアイコンタクトをしてくる長女。

 

 

 

『あたいは全て分かってるよ。ここは、あたいに任せて!』

 

と言わんばかりだ。

 

 

 

武士の情けというやつか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンタが去った後、私はごくさりげなくリビングに登場した。

 

 

 

長女はよほどリカちゃんが気に入ったらしい。

 

 

リカちゃん人形と手を取り合ってダンスを踊っていた。

 

 

長女『お父さん。これこれ。これで良かった〜』

 

 

 

 

次女もネネちゃんのお着替えセットに熱中していた。

 

 

今回は雨の日セットだったので、傘を持たせたり、レインコートを着せてニンマリしていた。

 

 

次女はネネちゃんのお母さんになったらしい。

 

 

 

 

こうやって二人とも母性を育んでいくのだろうか。

 

 

 

 

 

私『サンタさん来ちょったが?』

 

 

次女『お父しゃんがサンタやったで〜』

 

 

次女『トナカイもおらんかったで〜』

 

 

 

 

長女『トナカイはお外で待ちよったがでね。』

 

 

長女『ね〜お父さん (★≧▽^))★☆

 

 

 

私の完璧な変装を見破った3歳の次女。

 

 

それを察してフォローする6歳の長女。

 

 

 

 

二人とも立派に成長したなぁ。