鬼さんコワイ

 

このところ6歳の長女がナーバスになっている。

 

 

『お父さんあと何日?』

 

 

これが今年にはいって長女の口癖となった。

 

 

 

遠くを見てはため息をつく長女。

 

 

 

 

 

挙句の果てには

 

 

『明日は保育園行きたくない。』

 

 

と言い出した。

 

 

 

理由は分かっている。

 

 

失恋したわけでも期末テストがあるわけでもない。

 

 

 

 

明日は節分。

 

 

保育園に鬼さんが来る日なのだ。

 

 

 

昨年の節分は、妹を放り出し泣いて逃げ回った長女。

 

 

私なんぞは鬼さんが怖くて泣いたことなんかない。

 

 

特に成人してからは記憶にない。

 

 

 

 

 

 

仕方がないので、お風呂で鬼さん対策の作戦を練る運びとなった。

 

 

 

私『男の子に助けてもらったら?』

 

 

長女『A君とB君とC君に助けてって言ったけど、A君はDちゃんB君はEちゃんを助けるって決めちゅーがやもん。』

 

 

なんだか分からないけど、保育園児も大変そうだ。

 

 

 

話し合った結果、長女は落とし穴の前で鬼さんを待ち伏せする作戦に決定した。

 

 

この作戦は映画シンゴジラにあやかって『やしおり作戦』と名付けた。

 

 

 

3歳の次女の作戦は

 

『鬼さん来たらゴミ袋に入れて捨てる。』

 

と言っていた。

 

 

あまりにも終末期な思想なので『作戦Z』と名付けた。

 

 

 

 

さて、姉妹の運命やいかに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日。

 

 

娘たちは鬼さんに喰われずに無事帰ってきたのであった。

 

 

かなり疑わしいが長女曰く、鬼さんから次女を護ったらしい。

 

 

かなり疑わしいが・・・

 

 

 

 

家に帰ると長女は一生懸命に手紙を書いていた。

 

 

鬼さんへのお手紙だ。

 

 

 

 

 

昨年までは私がお面を被って、子供たちが泣き叫ぶバイオレンスな豆まきだったが。

 

 

今年は、お子ちゃま達が作ったお面を自分で被り、平穏に豆まきを行った。

 

 

長女が書いた手紙のおかげで、ピースフルな豆まきとなった。

 

 

 

 

 

長女が書いたお手紙はいかの通りだ。

 

 

 

おにさんへ

 

 

おかあさんのゆうこときいて、おりこうにします。

 

 

だから、もうおいえにこないでください。

 

 

ごめんやけどもうあいたくないです。

 

 

 

 

 

『もう逢いたくない。』

 

 

と用件はキッパリと伝えつつ、

 

 

『ごめんやけど』

 

 

と詫びもきちんといれている。

 

 

 

『お利口になる』

 

 

と条件提示までしている。

 

 

完璧な取引である。