引っ越し

 

 

苦節39年。家が建った。

 

 

15年前にアパートの一室で開業。

 

 

最初の目標が、テナントに引っ越す事だった。

 

 

それは9年前に達成した。

 

 

 

 

次の目標は家を建てることであった。

 

 

遠回りしたけど、それもやっとこさ念願叶った。

 

 

 

 

 

念願叶い、私のなかで胸を打つものがあった。

 

 

 

だから、いつもにも増して詩人のような事を長女につぶやいた。

 

 

私『見よ。この景色を。』

 

 

私『妹は3歳だからこの部屋に住んでいたのを忘れてしまう。』

 

 

私『でも、お前は6歳だから、この部屋とここから見える景色をしっかり目に焼き付けておきなさい。』

 

 

長女『うん。覚えちょく〜ヾ(*´Ο`*)/

 

 

 

子供達を保育園へ預けに行き、帰ってくるともう引越し業者が来ていた。

 

 

いよいよ戦闘開始である。

 

 

部屋に傷つけないように、通り道となる床や壁にはクッションが敷かれる。 

 

 

さらに、運ばれる家財にも保護材が巻かれる。

 

 

なるほど。

 

 

これなら安心である。

 

 

 

部屋に積まれた段ボールを、業者のおじさんお兄さんがトラックに積んてゆく。

 

 

この人達は、こんなハードワークを毎日しているのかと思うと感心してしまう。

 

 

 

 

 

 

さて、次は新居に荷物を積み降ろす作業である。

 

 

みんながせわしなく作業するなか、私だけはバイトの初日のように一人でウロウロ作業をしているふりをして過ごす。。

 

 

結局なにもしなかったのであった。

 

 

 

 

業者『これはどこへ?』

 

 

 『えーと・・・(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)

 

 

嫁さん『それは洋室Cへお願いします。』

 

 

 

 

業者『この荷物は?』

 

 

私『えーとえーと (゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)

 

 

嫁さん『そっちは2階の収納へ。』

 

 

 

 

業者『これはどこに?』

 

 

私『ど・・どこざろか。(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)

 

 

嫁さん『それはリビングの前。』

 

 

嫁さん『そっちは洋室Cのクローゼットで、入らなけれ洋室Bに置いておいてください。』

 

 

 

 

相変わらず頼りになる嫁さんである。

 

 

嫁さんは手帳に、どこに何を収納するのか事細かくメモをしていた。

 

 

私はというと、ノープランだ。

 

 

 

 

 

ここだけの話だが、どの部屋が洋室BCかすら知らなかった。

 

 

 

全く役立たずであった。

 

 

 

 

ここだけの話しだが、エコ給湯の使用方法もよく分かってない。

 

 

玄関や廊下の人感センサーの設定もよく分からない。

 

 

部屋の照明も、明るさやら何やら細かく設定できるけどさっぱり。

 

 

食洗機の使い方も、IHクッキングヒーターの使い方もさっぱり。

 

 

トイレの泡モコモコモードがなぜだか解除されてしまったけど、これももう私の知恵では戻せない。

 

 

 

 

すべて嫁さん任せだ。

 

 

家の片付けも、私が土日に仕事をしている間に、嫁さんが家を綺麗にしてくれていた。

 

 

 

 

 

家が綺麗に片付くと、もう何年も前からここに住んでいたような気がする。

 

 

もう心が落ち着いてきたのだと思う。

 

 

もうここがホームだ。

 

 

これからは、ここで家族と思い出を作って行こう。