幸せの正体

 

今日は車で2時間かけてきて来てくれている、ある姉妹のお話。

 

 

姉妹と言っても70代と60代前半の姉妹である。

 

 

20歳近く年が離れているから最初は親子だと思った。

 

 

 

 

姉であるお婆ちゃまは、若い時に脳梗塞を患い、右半身付随になった。

 

 

だから長い間、体は痛みと不自由の連続であった。

 

 

 

 

お婆ちゃま『先生、本当に楽になりました。』

 

 

『先生のおかげです。またこれで歩ける。ありがとうございます。』

 

 

と、私に最大限の感謝の言葉を残し、2時間かけて帰っていくのだ。

 

 

かわいいお婆ちゃまなので、私も大好きである。

 

 

 

 

 

お婆ちゃまは右手も右足もほとんど自分で動かせない。

 

 

だから、妹さんのサポートが必須である。

 

 

当院のベッドに寝っ転がるのは大作業となる。

 

 

あの狭いベッドで、うつ伏せから仰向けになる時は、確定申告より大変な作業となる。

 

 

 

 

 

ある日、いつものように私と妹さんで、お婆ちゃまをうつ伏せから仰向けにしていたら

 

 

お婆ちゃま『 一人ひっくり返るのに、二人もやってくれるぞね。』

 

 

といつもの様にニコニコしながらつぶやいたので、

 

 

坂本『幸せやねえ。』

 

 

と声をかけたら

 

 

 

お婆ちゃま『うん。幸せ (o´罒`o)

 

 

とニッコリ笑って返してくれた。

 

 

 

 

ひっくり返るのに2人も手を借りなきゃいけない。

 

 

と思えば不幸かもしれない。

 

 

 

でも、ひっくり返るのに2人も手を貸してくれる。

 

 

そう思えるから、お婆ちゃまは幸せなのだ。

 

 

 

 

こんなお婆ちゃまだからこそ、妹さんはずっと寄り添って来たのだと思う。

 

 

 

 

 

私は幸せの正体を垣間見た。

 

 

お婆ちゃまは幸せを与えられているのか?

 

 

 

そうではない。

 

 

自分で幸せを感じ取っているのだ。