トロヒー

 

正月に実家の神田へ帰省した。

 

 

帰省と言っても車で15分やけど。

 

 

 

 

うちのおかんが年末に大掃除をしたようで、

 

 

『これあんたの荷物やけど、いるのがあるか見ちょいて。』

 

 

と、いくつか段ボールを出してきた。

 

 

 

 

段ボールの中はほとんどガラクタだった。

 

 

しかし、1つだけ驚くべきお宝の段ボールがあった。

 

 

お宝と言うか、国宝級だ。

 

 

 

 

 

段ボールには古代文字のような書体で

 

 

『あきらトロヒー』とボールペンで書かれてある。

 

 

 

 

段ボールの中身は、私が高校の陸上部で活躍した時のメダルやトロフィーだ。

 

 

これを捨てるリストの段ボールに入れているおかん。

 

 

許さぬ。(`m´#)

 

 

 

 

 

数えてみると、メダル7個、盾5個、トロフィー1個だ。

 

 

うちの子供たちはもちろん、嫁さんも私の勲章を見るのは初めてだ。

 

 

思う存分自慢したかったが、子供には運動会でもらったドラえもんメダルと同じに見えたようだ。

 

 

 

 

 

さらに驚くべき事に、実家の両親や姉に至るまで初めてメダルを見るらしい。

 

 

物珍しそうに、父親と姉がトロフィーとメダルの写真を撮っている。

 

 

ガチで初めてみたようだ。

 

 

  

姉はメダルを見て、弟が高校のときに全国3位だったことを初めて知ったそうだ。

 

 

姉はもう四十路である。

 

 

 

 

どんな手違いがあれば、そんな事になるのか。

 

 

姉『あんた速かったがやねぇ。』

 

 

姉『あんた、誰も褒めてくれんのに、よく頑張ったねぇ。』

 

 

と四半世紀という長いときを経て、褒めてくれた。

 

 

 

こんな家族に育てられて、よく人の道を踏み外さなかったなぁ。

 

 

と、自分で自分を褒めてあげたい。

 

 

 

 

 

当時、私もおかしいと思っていた。

 

 

『オレ全国3位  ┓( ̄∀ ̄)┏

 

という体(テイ)でドヤ顔で家に居るのに、家族の誰もチヤホヤしてくれなかった。

 

 

 

 

なぜだか、家族の誰にも私の活躍が伝わってなかったよーだ。

 

 

思い返せば・・・

 

 

 

 

お祝いのパーティをしたり、

 

 

家族で私への労いの言葉を順番に述べたり、

 

 

家族で胴上げしてくれたり、

 

 

メダルをぶら下げて写真撮影したり、

 

 

インタビュー形式で武勇伝を熱く語ったり・・・

 

 

一切なかった。

 

 

 

赤飯すらなかった。

 

 

 

 

 

うちなんて、長女がスイミングで12.5m泳げるようになって、15級をもらったときに、赤飯と鯛を並べてお祝いした。

 

 

 

くそぉ。(`m´#)

 

 

うちの子が羨ましい。

 

 

 

 

 

『しっかりアピールしないと伝わらない。』

 

 

というのをお正月早々に学んだ。

 

 

なんと学びの多い人生だ。

 

 

 

 

 

私の活躍を風化させないように。

 

 

毎年正月がきたら、子供たちにトロヒーを拝ませよう。