褒め上手・褒められ上手

ある日、仕事を終えて家に帰ると、小1の長女がソワソワしていた。

 

 

普段からソワソワしている子だが、いつもにも増して落ち着きない。

 

 

『お父さんこれ見て見て~』

 

 

大きな画集袋を私に差し出してきた。

 

 

たぶん時期的に、1年間で仕上げた絵や図工の作品を持って帰ってきたのだ。

 

 

私『ちょっと待ちよってね。』

 

 

長女『もう٩(๑`н´๑)۶

 

 

長女は早く見てほしそうだ。

 

 

 

 

 

私はタオルや患者着など、毎日膨大な荷物を持って帰る。

 

 

まずそれを片付けるのが家に帰ってからのルーティーンだ。

 

 

荷物を洗濯機にいれてリビングへ戻ると

 

 

長女『お父さん見て見て~』

 

 

私『・・・もうちょっと待ってね』

 

 

長女『もう (๑`^´๑)‼‼

 

 

 

 

 

まだ帰ってからの用事がたくさんある。

 

 

私は作品をじっくり見たかったのだ。

 

 

だが、長女にせかされて渋々袋のなかを見た。

 

 

 

長女『お父さん、表彰状もらったがで~』

 

 

長女『何枚あると思う?』

 

 

私『うーん。一枚?』

 

 

長女『ちがうで~』

 

 

 

 

 

表彰状が3枚あった。

 

 

硬筆・図画・平面図画が高知新聞主宰のなにかで入選したようだ。

 

 

 

長女『クラスで表彰状3枚もらえたのは、私ともう一人だけながで~』

 

 

 

よほど褒めて欲しかったのか、近づいて来て、おでこを差し出している。

 

 

 

 

 

長女『お父さん、ごめんよぉ~。』

 

 

『あたし、表彰状4枚もらえると思ったのにぃ。』

 

 

『3枚しか貰えんかったぁ~(*´艸`*)

 

 

ちっとも残念な顔をしていない。

 

 

 

 

 

3枚も貰えたのか。そりゃ凄いね。

 

 

とお褒めの言葉を待っている表情だ。

 

 

わざと謙遜して、褒めの伸びしろを増やす作戦に切り替えてきた。

 

 

 

 

3枚しか貰えなかったのか。

(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵

 

 

と叱り倒しても良かったが、屈折した子になると困るのでやめた。

 

 

 

 

 

押したり引いたり。

 

 

いろいろこちらの心理を揺さぶってくる。

 

 

もう立派な女になったんだな。

 

 

 

 

 

 

私は長女がうっとりするほど褒め言葉のシャワーを浴びせた。

 

 

子供って褒めてほしいんだな。

 

 

そして、褒められるように工夫するんだな。

 

 

 

 

 

 

ふと思い出したけど、小学校のときマラソン大会で2位になった。

 

 

 

急いで帰って、おかんに

 

 

私『おかあさんマラソン何番やったと思う?』

 

 

と聞くと

 

 

おかん『うーん。1番?』

 

 

と言われた。

 

 

 

 

2位が台無しだ。(*`д´)σ=σ

 

 

もし1番と思っても、10番って言っとけよ。

 

 

やはり、うちのおかんは天然ちゃんなのだ。

 

 

それをまだ覚えているということは、よほどおかんの一言がショックだったのだろう。

 

 

この親でよくぞ屈折した人間にならなかったと、自分で自分を褒めてあげたい。

 

 

 

 

この出来事がまさか、自分が父親になって活かされるとは思わなんだ。

 

 

おかんは、そこまで見越しての発言だったのか。

 

 

 

 

私は子供が満足するよう褒め上手になろうと、幼心に胸に誓ったのだった。