おかんと二人

 

おかんが手術入院した。

 

 

仕事終わりに一応お見舞いに行った。

 

 

 

 

40男とその母親。

 

 

狭い空間に二人きり。

 

 

一体なにを話すか。

 

 

 

 

 

見舞いに行ったものの、何を話して良いか分からない。

 

 

入院手術といっても大したことないやつだから、暇だったに違いない。

 

 

おかんはなにか話がしたいに違いない。

 

 

 

 

 

昨今の時事ネタでいくか。

 

 

今話題の芸能ネタか。

 

 

おかんがそんなネタを話題にしているのを見たことがない。

 

 

おかんは趣味もない。

 

 

本なんて読む人でもない。

 

 

さてどうしたものか。

 

 

 

 

 

病院に到着。

 

 

私『どや。』

 

 

おかん『元気。』

 

 

私のヨメさんや姉も、さっきお見舞いに来ていたそうな。

 

 

 

 

おかんとの会話がもう終わってしまった。

 

 

お見舞いに来てまだ2分30秒。

 

 

さすがにまだ帰れない。

 

 

不自然すぎる。

 

 

 

 

 

私は話のネタを一つだけ用意していた。

 

 

今日来ていたお客さんの母親が、うちのおかんと従兄弟だったことが発覚した。

 

 

遠方から来てくれているお客さんなのだが、そこが母の出身地だったので話していくうちに親戚だと発覚したのだ。

 

 

 

 

 

仲の良い従兄弟だったらしい。

 

 

私『今日来てたお客さんのお母さんが、おかんの従姉妹で〇〇さんやと。』

 

 

おかんの目の色が変わった。

 

 

おかんが急に身を乗り出して、詳しく聞いてきた。

 

 

顔がくっつくくらい身を乗り出してきたので、思わず後ずさりして、おかんの体を引き離した。

 

 

 

 

おかんは村の出身である。

 

 

その従姉妹の話しから始まり、懐かしい田舎の親戚の話題になった。

 

 

親戚の話になると話題が尽きない。

 

 

私も親戚の話を質問し、話題を広げた。

 

 

 

 

 

昔話からはじまり、昨今の田舎の近況に至るまで懐かしそうにに語り出すおかん。

 

 

おかんの顔に生気が満ちてきた。

 

 

おかんは田舎の話をするのが一番のビタミンになるようだ。

 

 

 

私はうんうんと聞いてるだけで良いから楽ちんである。

 

 

相変わらず何を言っているかサッパリだった。

 

 

なぜサッパリか私なりに分析してみた。

 

 

 

 

 

 

主語がない。

 

 

時系列がグタグタ。

 

 

『行った』と『言った』を混合して話す。

 

 

起承転結の転で、次の話題に飛ぶ。

 

 

そして一つ前の話題にいつの間にか戻っている。

 

 

途中までのいきさつを、こちらが知っているという前提で話す。

 

 

 

 

内容はサッパリ解らなかったが、今日くらいは突っ込まずに『うんうん』と聞いてあげた。

 

 

おかんは元気そうだった。

 

 

面会時間のギリギリまで話を聞いた。

 

 

初めて親孝行ができて満足だ。