バースデー

 

 

3歳のときに、ドングリを鼻に突っ込んでとれなくなり大騒ぎした長女。

 

 

なぜドングリなんかを鼻の穴にいれたのか、凡人の私には想像もつかない。

 

 

そんな長女も9歳のお姉さんになった。

 

 

 

 

 

 

その日はいつもとは違うケーキ屋へ頼みに行った。

 

 

到着したケーキ屋では、ガラス越しにケーキを作っているのが見られる。

 

 

将来パティシエ志望の長女は、ガラスに張り付いてケーキ作りを括目していた。

 

じーっ (。・.・)

 

 

ガラスの向こうでは、陶芸のお茶碗作りの要領で、土台をクルクル回しながらヘラでスポンジにクリームを塗っている。

 

 

さすがな手捌きだ。

 

 

 

 

 

ケーキ作りを見ている長女の目は、キラキラ輝いていた。

 

 

帰りの車で、割り箸をヘラに見立てて早速ケーキ作りの稽古を始める長女。

 

 

 

 

 

家路に着く頃には

 

 

(ケーキ作りを)もう覚えた。』

 

と言っていた。

 

 

私は長女が天才だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次女のお姉ちゃんへのバースデープレゼントは、工作で作った『なにか』だ。

 

 

お菓子の箱にストローの切れっ端を貼りつけてある。

 

 

何かは分からないが力作だ。

 

 

 

 

 

ケーキを食べた後、長女と嫁さんが大騒ぎしている。

 

 

プレゼントのストローの切れっ端が、長女の鼻の穴に入ってとれなくなったのだ。

 

 

嫁さんがなんとかピンセットでストローを取り出し、事無きを得た。

 

 

真っ赤に鼻を腫らした長女が、満面の笑みでピース。

 

イエィ(★´3`)v

 

 

 

 

 

 

 

なぜストローを鼻に突っ込んだのか本人に問い正してみた。

 

 

長女が言うには、ストローを突っ込んだのではく、いつの間にか鼻にはいっていたとの事だ。

 

 

 

 

なぜいつの間にかストローが鼻に入っていたのかと聞いてみた。

 

 

『自分はやっていない。』

 

 

『なぜかは分からない。』

 

 

『記憶にございません。』

 

 

 

 

まるで政治家のように、曖昧な答弁を繰り返す長女。

 

 

 

私は長女が天才ではないかもしれないと思った。

 

 

 

 

 

まあ良い。

 

 

誕生日に爪痕を残したかったのだろう。

 

 

 

 

 

 

3歳にときに、

 

 

『ドングリは鼻に突っ込まない方が良い。』

 

 

と学んだ。

 

 

 

 

9歳にして

 

 

『ストローの切れっ端も、鼻に突っ込まない方が良い。』

 

 

と学んだ。

 

 

大いなる進歩だ。

 

 

 

このペースでいくと、15歳でシャーペンのキャップを鼻に突っ込んで大騒ぎになるはず。

 

 

 

パティシエになった頃には、食材のアーモンドを鼻に突っ込む衝動を克服できていないと困る。

 

 

 

 

 

少しずつ成長していく娘の姿が楽しみだ。