みなさん、『令和の虎』という番組をご存じだろうか。
昔テレビで見ていた『マネーの虎』という番組の現代版だ。
ビジネスのアイデアを持っている人が、百戦錬磨の社長5人にプレゼンをして出資金を募るわけだ。
私は『令和の虎』を昼休みにYouTubeで見ていた。
ある女部長が今回の出願者。
現在働いている工務店の社長が、利益率の弱いリフォームの部署を閉鎖すると決めた。
仕事のできる女部長だけを会社に残して、除くリフォームの従業員7人を解雇する運びとなった。
仕事ができる人だけ残して、あとは解雇。
というのは、経営者目線なら納得できる。
でも女部長の正義心がそれを許さなかった。
女部長は、なんとかして従業員7人をまもりたい。
そこで女部長は7人と共に会社を辞めて、リフォーム会社を立ち上げようと決めた。
資金調達のため令和の虎に応募したのだ。
恩のある社長のもとを離れ、苦楽をともにした従業員との未来を選んだ女部長。
よほど憔悴(しょうすい)していんだろう。
女部長の顔はひどくやつれていた。
プレゼンの終盤、鋭い質問が投げられた。
投資家『事業がまわらなくなって、手元に現金が300万円だけ残っていると。』
投資家『従業員と、われわれ投資家と。』
投資家『どちらにお金を支払いますか?』
という問いに、女性部長は『取引先』と答えた。
女部長『取引先にだけは迷惑かけないようにしないと、今後お仕事が頂けないから。』
投資家の言った、事業がまわらなくなって、現金が300万円だけ残った。
というのは、もう会社が解散(倒産)する局面の話しである。
そのうえで、目の前のわれわれ投資家なのか、従業員を優先するのか、という問いだ。
彼女はおそらく、倒産するという局面だと想像していない。
だから『今後』のためにと言った。
これは読解力がないのか。
はたまた、倒産なんて微塵も考えてなくて、前だけを向いている姿勢なのか。
投資家『取引先?では従業員には給料がとどこおると?』
女部長『いや、絶対にとどこおらせないです。』
投資家『いやいや。それは気持ちだけで言ってもしょうがなくて。』
投資家『事業をしていくとそういう局面もある。』
投資家『あなたが、何を優先する人なのかの質問です。』
投資家『今の社長を批判されてますが、経営者は取捨選択する、なにか決断を迫られるときがくるんです。』
投資家『従業員、取引先、投資家、銀行、どれを優先しますか?』」
女部長『・・・・。それなら、今の授業員の7人には謝って許してもらうから、投資家にお支払いします。』
この回答に、納得した投資家もいた。
『いやいや。我々はお金持ちなんだから、そこは従業員が先だろ。』
という投資家もいた。
この女部長の誠実さは、動画を通してもみてとれる。
従業員に慕われているのもわかる。
ただ、経営をしていくと優しさだけでは乗り越えられない局面もでてくる。
それを試す鋭い質問だったと思った。
この厳しい局面で。
従業員、取引先、銀行、投資家。
残ったお金を誰に支払うか。
私の答えは取引先かな。
銀行とか投資家は後回しでしょ。当然。
従業員と取引先で悩むところだけど。
従業員は内部の人間だからね。
外部の取引先に迷惑をかけるわけにはいかない。
取引先の人にも、家族があって生活がある。
私が支払わなかったために、お子さんが大学に行けなかった・・・
なんてのは困る。
従業員はある意味では運命共同体だし。
結果の責任は取引先にはないが、従業員には少なからずあるだろう。
もちろん従業員に責任を押し付ける社長は問題だが。
とはいえ。
うーん。難しい。
誰にも迷惑はかけたくないし、誰との約束も違えたくはない。
だから、今のところ私は手広くやらないようにしている。





