江戸時代から明治になり、日本は近代化に向けて走り出した。
日本は鎖国を解除して、欧米の文化を積極的にとりいれるようになったのである。
英語のものを日本語に変換していく作業は、当時の学者が話し合って決め、かなり難航したらしい。
欧米にあって、元々日本になかったものは新しく言葉を作った。
base ballは、野球。
tnnisは、庭球。
などである。
また、元々日本にあまりなかった概念を、漢字を組み合わせて作っていったりもした。
『society』を社会。
『individual』を個人。
『nature』を自然。
などである。
『freedom』『liberty』という言葉は、元々日本にあった『自由』という一言にまとめた。
日本語にも中国語にも元来なかった語で、後に重要な道徳的意味をもつ『品性』という言葉がある。
これは明治時代初めに到来した英語の『character』である。
道徳の程度、道徳性の意味に対いて、『品行』『品格』などの訳語があてられ、そこから発展して『品性』という言葉が生み出された。
英語を日本の言葉に作り替えるプロジェクトチームのなかに、福沢諭吉もいた。
ある学者が福沢諭吉に
先生、『I love you』はなんて変換しますか?
との問いに、福沢諭吉は
『月がきれいですね。』
とでも書いておけ。
と言い放ったらしい。
これは、後輩の学者にジョークで言った言葉らしいが、語訳としては美しい。
私なら『I love you』を
『いつも美味しいご飯をありがとう』
と訳すだろう。
みなさんなら、なんと訳すだろうか。