インチキ経営セミナー②

ある日、棚を整頓していたら、むかし買ったDVDがでてきた。

 

 

整体院のホームページ集客セミナーのDVDだ。

 

 

 

久しぶりに見てみた。

 

 

 

 

司会者がこれでもかというくらい、講師をもちあげる。

 

 

 

『はい。では行列をつくるカリスマ人気整体師、○○先生の登場です。』

 

 

 


イカガワシイ講師が登場。

 

 

 

 

シャツの襟を立てて、胸元がザックリ開いている。

 

 

 

光沢シャツの下は素肌である。

 

 

 

 

顔はともかく、服装はジャニーズのコンサートのようだ。

 

 

 

 

 

講師曰く。

 

 

『とにかく!繁盛している様子の写真を、ホームページにいれるのが大事!』

 

 


『繁盛しているラーメン屋は、席数が少なくて行列ができるから繁盛するんだ。』

 

 

 

会場のスクリーンを使って、講師の運営するホームページの説明が始まった。

 

 

 

『はい、写真1つ目。これはうちの2号店のオープン初日。行列ができている写真。』

 

 

『前からうちの母・父・兄・義嫁、そのうしろは友達です。』
 

 

『身内を使って行列を演出し、写真を掲載します。』

 

 

 

 

 

『はい。写真2つ目。玄関に、お客様の靴がはいりきらない写真。』 

 

『これも母と義嫁の靴で、後は全部私に靴。ありったけの靴を並べて写真を撮りましょう。』

 

 

 

 

 『はい。写真3つ目。これは玄関で杖の忘れ物が多い写真。』

 

 

『お爺さんやお婆さんが、みんな腰やひざが良くなって帰る。というアピール効果があります。』

 

 

『杖はホームセンターで、安いのを3つほど買えば、十分でしょう。』
 

 

 

 

 

『はい。写真4つ目。お客様の感想も、写真付きで身内に書いてもらいましょう。』

 

 

 

はい、これはうちの義理姉。

 

 

・・・長年の腰痛がすっかり良くなりました。・・・

 

 

 

 

これはうちの母。

 

 

・・・まるで魔法のようです。・・・

 

 

 

『もちろん身内の名前は偽名かイニシャルに変更しといてくださいね。』

 

 

『苗字が一緒なら身内だとバレちゃいますからね(笑)』


 

 

 

 

 

 

ひとしきり説明した後、さすがのおバカ講師も会場の異変に気付いた。
 

 

 

会場が凍りついている。
 

 

 

 

DVDの画面を通してもわかるくらいだ。

 

 

 

参加者の講師に対する尊敬の眼差しが、殺気に変わっている。
 
 

 

だって、みんなこの講師が、本当に繁盛店をプロデュースしていると思っていた。
 

 

 

だから、わざわざ地方から来て、高いセミナー料を払ってるのに。
 

 

 

 

全部ウソだった。

 

 

 

この講師は、平気でお客にウソをつく。

 

 

 

セミナーに集まった人たちも

 

 

『繁盛店をいくつも運営するカリスマ整体師のセミナー』

 

 

というウソに騙されてやってきた。

 

 

 

目の前でネタ晴らしされたら、そりゃ怒るだろう。

 

 

 

 

 


 

 

 

後半は講師が冷たい視線を浴び、冷や汗をかきながらタジタジであった。

 

 

 

セミナーの終盤の質問コーナーでは

 

 

『実際には一日に何人来ているんですか?』

 

 

といったエグイ質問が相次いだ。

 

 

 

講師は冷や汗を拭きながら、防戦一方であった。

 

 

 

 

 

やっぱりウソはいかん。

 

 

 

 

DVDを購入した私も騙されたひとり。

 

 

 

なんでこんな失敗セミナーを、わざわざDVDにしたんやろか?
 

 

 

儲けるため?
 

 

 

まさか。

 

 

 

DVDにして販売すれば末代まで恥が残る。

 

 

 

 

 

 

『ウソはダメだ。』
 


 

という教訓を後世に残すため、お詫びの気持ちをこめて講師が恥を偲び、DVD化したのだ。 
 

 

 

 

そうだと信じたい。
 
  

 

 

 私はこのDVDから、

 

 

『ウソはダメだ。』

 

 

ということを学んだ。

 

 


 

 

やはり、子供に胸を張って言える仕事がしたい。