祈り

 

皆さんは大人になって祈ったことがあるだろうか。

 

 

私はある。

 

 

子供が産まれる時は、さすがに無事を祈った。

 

 

それ以降はない。

 

 

 

 

 

私は神ではなく、運でもなく、自分の分析力と努力を信じる。

 

 

 

仕事がうまくいかない時に

 

 

『売上が上がりますように。』

 

 

とか

 

 

『明日は沢山来ますように。』

 

 

とか、いちいち祈らない。

 

 

 

 

祈る時間があれば、技術の勉強か経営面の見直しをする。

 

 

祈るよりそっちが効果的である。

 

 

じゃあ人間はどういう時に祈るか。

 

 

それは自分の力が到底及ばないとき。

 

 

すなわち神の領域である。

 

 

 

 

 

 

 

 

つい先日、必死で祈る人を見た。

 

 

我が娘だ。

 

 

 

ゴールデンウィークに関西旅行へ行くはずが、コロナで行けなくなっだ。

 

 

『仕方ないよ。』

 

 

 

 

代案の四万十バーベキュー・カヌーの旅もコロナで断念した。

 

 

『残念である。』

 

 

 

 

そして、7月の連休である。

 

 

土佐清水でシュノーケルのはずだった。

 

 

しかし、天候不良でキャンセルとなった。

 

 

『ド・・ドンマイ!』

 

 

 

 

シュノーケルのはずだった日の高知市内は曇り。

 

 

すかさずサンピアのプールへ行くことにした。

 

 

 

 

 

小3の長女と年長の次女が、車のなかで手を合わせて祈っている。

 

 

なにやらブツブツ言っている。

 

 

どうやら雨が降らないように祈っているようだ。

 

 

曇りだった天気予報が、午後から雨に変わっていたのだ。

 

 

 

長女はさらに、身長115cmの妹が、120cm以上の人が利用できる滑り台で遊べるように祈っている。

 

 

 

 

 

私は目頭が熱くなった。

 

 

齢9歳にして、妹のために祈るだなんて。

 

 

身長を誤魔化して、妹と楽しく滑り台で遊びたいだなんて。

 

 

なんて心が優しいのだ。

 

 

親の教育が素晴らしいに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

サンピアに到着。

 

 

 

子供たちの祈りは届くのか。

 

 

 

 

結果を先に言えば、サンピアは今年休みだった。

 

ガ━━━━ Σ( ̄□ ̄;)━━━━ン!!!

 

 

 

コロナのせいである。

 

 

 

天は、我が子を見放したか。

 

 

 

 

 

親子はパンパンに膨らませた浮き輪を持ったまま、サンピアの入り口で呆然と立ち尽くした。

 

 

 

 

 

昨日ネットでサンピアについて調べた時は、営業時間にばかり気をとられ、

 

 

『2020年はお休み』

 

 

の文字が私の瞳に映らなかった。

 

 

または、脳が認識しなかった。

 

 

決して決して私の初歩ミスではない。

 

 

 

 

天気を気にしつつ、朝イチに行くべきか、お昼ご飯を食べてから行くべきか考えながらネットを見た。

 

 

このような巧妙な心理背景と、錯覚が折り重なり

 

 

『2020年はお休み』

 

 

を見落としてしまったのだ。

 

 

誰もが納得できる理由だ。

 

 

 

 

 

 

 

『よし。ヨネッツに行こう。』

 

 

私はすかさず代案をだした。

 

 

 

トラブルがあっても、悲観するより代案をだす。

 

 

そうやって、私はたった一人で世間の荒波を渡って来たのだ。

 

 

 

 

決して決して、自分のミスを誤魔化すために、すかさず代案をだしたわけでない。

 

 

 

 

 

 

ヨネッツに向かう途中も長女は祈っていた。

 

 

ヨネッツにも身長120cmボーダーの滑り台がある。

 

 

 

長女は手を合わせたまま顔をあげない。

 

 

祈りの極致であるゾーンにはいったのだ。

 

 

次女もお姉ちゃんの真似をして祈りだした。

 

 

 

 

娘たちは祈る。

 

 

祈る。

 

 

いよいよ人智を超えた闘いとなってきた。

 

 

 

 

 

 

果たして姉妹は、無事にプールで泳ぐことができるのか。

 

 

果たして次女は、身長を誤魔化して滑り台で遊べるのか。

 

 

果たして、この日の親子の結末はどうなるのか。

 

 

 

 

 

ここから先は神のみぞ知る領域である。