ドキドキかくれんぼ

秦山公園では、高頻度でかくんぼを子供たちとたしなむ。

 

 

広大な敷地と大きな遊具があるので、かくれんぼにはことさら都合がいい。

 

 

 

 

 

 

私が鬼をしたとき、10秒で姉妹を見つけた。

 

 

遊具の下に隠れている。

 

 

姉妹で一緒にかくれているのだ。

 

 

頭かくして尻かくせてない。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、すぐに見つけると姉妹はつまないと怒る。

 

 

だから、隠れているところに近づいてウロウロしてドキドキさせて、また他のところへ探しに行くのだ。

 

 

これがエンターティナーの業である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供のころ、ドリフを観ては

 

 

『志村うしろうしろ (゚ロ゚;ノ)ノ

 

 

と叫んでいた。

 

 

 

志村はリハーサルの段階から、後ろにお化けがいるのは知っていたはずだ。

 

 

でもテレビを観ている子供たちをドキドキさせるために、ギリギリのところでお化けに遭遇しないように勤めていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』などの作品を残した、宮沢賢治。

 

 

彼は教師をしていた。

 

 

宮沢賢治もドキドキの伝道師であった。

 

 

 

 

 

賢治は、クラスの生徒達を元気づけるため、ある企画をたてた。

 

 

スイカ泥棒である。

 

 

賢治は、農家のスイカ畑へはいって、おもむろにスイカを割って食べだした。

 

 

 

 

賢治『スイカはこの食べ方が一番美味しいんだよ。』

 

 

賢治『お前たちもやってみろ。』

 

 

生徒『先生、こんな事して大丈夫なんですか?』

 

 

賢治『大丈夫だよ。こんなにスイカがあるんだから。』

 

 

生徒A『本当だ。うめぇ。』

 

 

生徒B『うめぇ。』

 

 

生徒C『うめぇ。』

 

 

 

 

 

その時、

 

 

農家『コラー。スイカドロボー。コラー! ( `Д´)ノ

 

 

賢治『逃げろ〜』

 

 

生徒『うわぁ〜ε=ε=ε=ε=ヘ(; >д<)ノ 

 

 

賢治『はぁはぁ。ビックリした。でも美味かったなぁ。』」

 

 

生徒『はい。楽しかったです。』

 

 

 

 

 

 

実は宮沢賢治は、農家へ先に断りをいれていた。

 

 

スイカ代を先に支払い、『コラァ』と追いかけるところまで頼んであったのだ。

 

 

生徒達にドキドキを体験させるために。

 

 

私はこのお話が大好きで、いつかこういう事がしたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

時空を超えて、令和の現在。

 

 

私にもドキドキ体験をさせる出番がきた。

 

 

 

 

 

かくれんぼで、私のゴールは姉妹を見つけることではない。

 

 

姉妹をドキドキさせる事である。

 

 

 

 

 

いつものように、隠れているところに近づいては通り過ぎる。

 

 

 

 

 

それにしても、どこに行ってもすぐに姉妹を見つけてしまう。

 

 

角を曲がるとすぐに姉妹のズボンが見えて、慌てて引き返す。

 

 

気づかないフリをするにも限界がある。

 

 

 

 

隠れ家を変えようと、引っ越し中の姉妹にバッタリ遭遇してしまい、ジエンド。

 

 

エンターティナーとして、志村と賢治にはまだまだ及ばない私であった。